休職期間におけるトラブル

営業担当として勤務していた30代男性は、ストレス等による体調不良の為、欠勤が続いていたが欠勤日数が40日を超えた時点で「就業規則の規定により解雇する」という会社からの解雇通知が自宅に届いた。
後日、体調回復後の復職を申し入れたが、会社から拒否された為、会社と現在、協議をしている状態である・・・・・

・労働者側の主張
医師から業務外のストレスが原因とみられる軽いうつ状態と診断され、その後、心身ともに回復出来ない為、年次有給休暇を使い切ったあとも欠勤が続いていた。
会社の就業規則には休職規定もなく、連続欠勤日数が40日を経過した為、解雇に踏み切られた。

会社側の主張
・会社の就業規則では、解雇事由の一つに「業務上の事由以外で引き続き欠勤日数が40日を超えたとき」と定めていた為、その事由に基づき、解雇を通告した。また、会社の経営状態も非常に厳しくなっていることから、この労働者の復職までは待てず、すぐにでも代わりとなる営業員を採用しなければならない。今回は、規定に基づいた解雇である為、解雇予告手当を支給しない方針である。

ポイント
・解雇の妥当性
解雇は、労働基準法で以下のように定めています。
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効とする」
このフレーズ、個人的な解釈によって、大きくも小さくもなります。では、実際の法律上の見解はどうなのか?
答えは、かなり限定された内容にのみ合理性が認めれると言われています。
例:会社の経営上、解雇しないと倒産してしまう。労働者が犯罪を犯し、起訴された等

今回事例では、就業規則に解雇事由があり、その事由に基づいた処分となっています。一見まったく問題が無いように思われますが、規定と実際の見解とは、温度差があります
では、何の為の就業規則かわかないと思われるかもしれませんが、解雇をする場合は、実際に気をつけないといけない点が2点あります。

【1】十分な話し合いができているか
【2】解雇予告または解雇予告手当があるか

【1】について、解雇事由そのものが、法律でいう合理的な理由といえるのか。そうでなければ本人の弁明等をヒヤリングし、社内でできる代替措置等の提案が出来ているか。
今回の事例というと、合理的な理由、答えは× です。
では、解雇を通告するわけですが、まず話し合いの場面があったか? 答えは× です。
いきなり自宅に解雇通知を送ってますよね。その後に話し合いはしていますが、まとまらず平行線の状態である。
この文面からの想像だと代替措置の提案もなかったと思います。

結論:就業規則の解雇事由は、合理的は理由を除けば、あくまでも会社としての指針です。
ですから、指針を実行する場合、十分な対応(とりわけ誠意のある対応)を心がけることが重要です。
考えていただくと想像ができると思いますが、「解雇される側の気持ち」を少しでも理解して対応してあげて下さい。そうすることで、かなり話が前向きに進展します。

【2】解雇とする場合、法律上の解雇予告除外内容を除き、解雇予告(よく言われる30日前に通知)
または解雇予告手当の支払いは必要となります。
もし、この手順を踏まないと労働基準監督署から是正指導をうけることになります。

総括:今回の事例では、就業規則の作成・周知という点で、まずは、就業規則の存在自体、労働者に周知できていたかと思います。就業規則は、会社側が一方的に作成することができますが、周知できる状態にしておかないと、その効力がありません。
(例:服務規定があっても、周知していないとルール違反をした労働者に始末書を取ることもできない)
周知方法は、各人の配布し、説明することが最良ですが、すくなくても労働者が見たい時にはいつでも閲覧できる状態にして下さい。

作成内容については、「休職規定がない」ことが問題です。休職規定の意義は、休職期間満了後、期間満了による退職として、会社都合というよりは、むしろ自己都合に近いニュアンスでの退職として対処出来ることがあります。但し、解雇の規定、退職の規定とリンクする所なので、休職規定を含め就業規則の整備をしておくことをお勧めします。
また、傷病の場合、本人の仕事復帰が本当に可能なのかは重要な要素であり、本人の主張だけでなく、医師の診断書を提示てもらったり、 場合によっては、診断書の信憑性を確認する為、会社側の指定した医師の診断を受けてもらう等により、最終的な復職判断をされると良いと思います。

傷病の現在の状況確認について、今回事例では、会社・労働者双方が途中での状況確認が全くなかったことも問題だと思います。状況報告出来ない状態であるならまだしも、双方ともが出来ないということは、無いですよね。こうした事例に備え、就業規則等でルール化をしておくほうが良いと思います。(例えば:1月に1度訪問等) また育児休業以外の休職については、社会保険料の免除が無い為、会社が立替払いとなることもありますので、注意しましょう。
状況確認の為、対面等があれば、いきなりそこで打ち切りってことにはなりにくいと思いますが・・・

最後に解雇の結論を出す前にそれ以外の措置はできなかったのか?例えば、配置転換する等
また、話し合いの段階で代替案が出来なかった場合、または代替案を拒否された場合、結論を出さざるを得ないですが上記の総括で述べた内容を段階的に踏まえたうえで、誠実に対応されるとリスクはぐんと低減されると思います。

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